if(白夜・暗夜・透魔) / テリウス(蒼炎の軌跡/暁の女神) / ユグドラル(聖戦の系譜/トラキア776)
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花衣を君に
合同誌『花衣を君に』のWEB再録です。レオンとサクラが、互いのきょうだいたちに支えられながら大切な気持ちを確かめていくお話。
レオン視点を氷上涼季・サクラ視点を白井章子さんが担当しました。
FE if サクラ レオン レオン×サクラ片時雨
螺旋階段
夢見草
「最近サクラ様があんまり笑わない」
夜中に突然叩き起こされたと思ったら……真剣な顔のカザハナを見ながら、明日の行軍のために計算し尽くされた完璧な眠りを妨げられたツバキは言う。
FE if カザハナ サクラ ツバキ ツバキ×サクラ甘くて苦い手
「グレイ。どうしたんですか、そんなに慌てて」
「母さん。やっと、あげられるような綺麗なのができたぜ。ほら」
グレイはそっと小箱の蓋を開け、懐紙をどける。サクラは中身を見て、ぱっと顔を華やがせた。
FE if グレイ サイゾウ×サクラ サクラこんな月の綺麗な夜には
フローラはひとり、星空の下を歩く。
足元はおぼつかない。こんな無様を誰にも見せたくなくて、星界の城の中をただ彷徨っていた。
FE if カミラ フローラ君に手を叩く
ラズワルドはいきなり膝から崩れ落ちた。
とっさのことで受け止めきれず、マークスは座り込むようにして、ラズワルドの身体が床に叩きつけられるのを防いだ。
FE if マークス ラズワルド遠い家路
うすむらさき
「閉じ込められたみたいね」
ひどく落ち着いた声に、レオンははっと振り向く。
闇に目を凝らしてみると、壁際の木箱の上に、十を少し過ぎた程度の少女が腰かけて、悠然と微笑んでいた。
FE if カミラ レオン レオン×カミラ彼の名前は蒼炎の
アイクはそれなりにそれなりの経験をして、テリウス大陸を旅立ったはずだった。
女神の力で他の大陸を失い、海にぽっかりと浮かぶ最後の島々。それにさえ、知らなかった砂漠の向こうの国が存在したように、この遠い世界も傭兵砦で剣を振るうだけだった幼いアイクには想像もできなかった。
FE if アイク アクア エリーゼ タクミ ニシキ ヒナタ フランネル レオン清濁併せ灰と生す
シャーロッテは、先日恋人となったサイゾウの部屋にいた。
彼は本日、主君のリョウマとずっと行動を共にしているという。
シャーロッテが来ていることすら知らないはずだ。強引に婚約を迫っておいて、OKしたら放置ときている。
FE if サイゾウ サイゾウ×シャーロッテ シャーロッテ些細な理由と君は笑う
冷たい指が
Sweet Sweets
「あっ、こんにち……いらっしゃいませ!」
食堂に入るなり、白夜王国の第二王女であるところのサクラが頭を下げてきた。
レオンは嘆息して腕組みした。
FE if サクラ レオン レオン×サクラ変わりゆく世界
君を一生許さない
鏡の温度
つないでむすぶ
お味はいかが
「そりゃあマークス様が悪いですよ」
思案するマークスに、ラズワルドが頬杖をつきながら言った。
「完全に作戦ミスですよ。マークス様って本当に根っからのオウジサマですよねー」
FE if サクラ マークス マークス×サクラ誰の背を見て
寝耳に水どころか寝所に火矢を放たれたようだった。
「サクラ、マークス王子。タクミとエリーゼ王女は何も知らない。我々にそうしたように、二人にも自分たちで説明をしてやれ」
「は、い。……リョウマ兄様」
FE if サクラ タクミ マークス マークス×サクラリンドウの花が枯れる前には
「ねぇ少しは下心もあったのよ、あなたのもとに来ればあの子とも離れずに済むんじゃないかって。まさか透魔王国を再建させて、王様になるだなんて……ヒノカ王女もお嫁に行ってしまうし、ああつまらないわ」
白夜王妃カミラは、寝室の窓辺で聞こえよがしに嘆息した。
FE if カミラ リョウマ リョウマ×カミラ綺羅星の姫君
「ねぇオボロ。お式の衣装はこの間、サイズ測ってもらって布も選んだよね? 今度は何を選ぶの?」
闘いが終わり、真の平和へ歩き出した白夜王国と暗夜王国。その架け橋として、もうすぐエリーゼは白夜国王リョウマに嫁ぐ。
FE if エリーゼ リョウマ リョウマ×エリーゼ鼈甲色の王子
リョウマの白夜王としての即位式も、エリーゼとの祝言も滞りなく終わった。
そして戦時中には秘境に預けていたシノノメを正式な王太子として立てたが、どうにも言動から幼さが抜けない息子にリョウマは手を焼いていた。
FE if エリーゼ シノノメ リョウマ リョウマ×エリーゼ罪紅に水括る
「いいお天気だね! 狐の嫁入りなんて言葉はきっとヒトの考えた冗談だよ」
「ピエリは人なのよ! お嫁入りするのはニシキじゃないんだから、雨が降ってなくて当然なの!」
FE if ニシキ ニシキ×ピエリ ピエリ雫集め
彼女がいつから白夜にいたのか、タクミは覚えていない。
生まれてはいたはずなのだが、もの心つくほど大きくはなかった。ともかくも彼女はいつも、遠慮がちにタクミの家族の傍にいた。
FE if アクア タクミ タクミ×アクア弦のない弓
「タクミ様がね、周囲がどんどんお相手を見つけているっていうのに、浮いたお噂の一つもないの」
母・オボロの頼みで、エポニーヌはタクミに想い人がいるかどうか確かめることになる。そしてタクミの思いがけない気持ちに触れ、エポニーヌはある決心をする。
FE if エポニーヌ オボロ ゼロ ゼロ×オボロ タクミ花の名前を君に贈ろう
テリウス(蒼炎の軌跡/暁の女神)
太陽と手を携えて
クリミア解放までをアイクとレテ、それぞれの視点で描いた長編。
何が二人を隔てようとしても、この手だけは絶対に離さない。
――これは海に恋した少女と、太陽に焦がれた少年の物語。
世界の軸
「必要がなくても、して」(台詞お題)
月と猫とお人好し
運命に訊け
ラグズ連合軍はベグニオンからの撤退を決意した。渡河作戦の途中、思いがけず立ち塞がったのは……見知った顔。
「初めて逢ったとき、私とお前は敵同士だった」
FE テリウス サザ ジル ミカヤ レテ 暁の女神故は運命に非ず
「レテ」
彼女はそう呼びかけて、レテの許へと歩いてきた。翳のある微笑み。
こちらの陣営に彼女がいるというのはまるで自然な風景で、その実道理としては少しおかしいようで。
「……ジル」
FE テリウス ジル レテ 暁の女神途上
きみが嫌い
敵陣に見つけたのは、見知ったと言うには大分様変わりしてしまったけれど、見覚えのある面影。
「サザ?」
「ヨファ、か?」
FE テリウス サザ ヨファ 暁の女神雪の日の掌
「ええと……あなた、グレイル傭兵団の射手よね?」
ミカヤの声に少年は振り向いた。揺れる若草色の髪。顔立ちは間近で見ると、思った以上に幼い。
FE テリウス ミカヤ ヨファ 暁の女神君は無辜の林檎
その国の翼
緑の髪の少女が、眩しそうに天を見上げていた。ベグニオン王宮に留まっている彼女は、雇った傭兵団の留守中、神使に呼ばれていないときはああして中庭で空を見ている。
「どうかなさいまして? エリンシア姫」
「シグルーン様」
FE テリウス エリンシア シグルーン 暁の女神汝は我らを導く者ぞ
「……不満そうだな?」
レテが呼びかけると、アイクは難しい顔で振り向いた。
「不満なんじゃない。腑に落ちない。何で俺なんだ?」
「ライにも言われたのだろう?ラグズとベオクが組む時点で、将軍はお前しかいないのだと」
FE テリウス アイク アイク×レテ レテ 暁の女神大地に満ちる蒼穹よ気付け
女神との戦いからしばし時が経ち、各国が落ち着きを取り戻した頃、カイネギス王は正式に禅譲を表明された。
今や立派に成長したスクリミルの即位に反対する声もなく、現在ガリアは国を挙げて式典の準備を行っていた。我々軍人も例外ではない。
FE テリウス アイク アイク×レテ レテ 暁の女神水幻の色
一面の海原はガリアからベグニオンへ向かった船旅を思い出させた。
潮風の匂いだとてそう違いはないのに、この場所は女神の作り賜うた土地とは遠く切り離された『異界』なのだそうだ。波に揺れる足下はどこにもまして頼りない。
FE テリウス ヒーローズ アイク アイク×レテ ヒーローズ レテきみのてづくり
ぼくのてづくり
「朝陽の、ばかやろー」
全てが目覚める朝の道を、覚束ない足取りで歩いている。
動かしどおしでだるい右腕、開けていることも困難な色違いの瞳……仕事を終えて寝に帰る、朝。
FE テリウス ライ ライ×リィレ リィレ 暁の女神気付いたらそこに花が揺れてた
リィレがそれを持ってきたのは、女神との戦いから一月を経た頃だった。オレは執務室で仕事をしていた。既に勤務時間外なので、他には誰もいない。
この静けさにも慣れた。キサが退勤前に淹れてくれた茶を啜りながら、譲位関係の書類に目を走らせる。
FE テリウス ライ ライ×リィレ リィレ 暁の女神エインヘリャルの祈り
「ヨファ、本当に一人でいいの? 大丈夫なの?」
ミストが名を呼びながら駆け寄ってくる。寒さのせいで、息は白く弾んでいた。
いつもは煩わしかった子供扱いが、今はやけに微笑ましく感じる。
FE テリウス ミスト ヨファ ヨファ×ミスト 暁の女神朽ちない約束
世界が色を取り戻した日。ヨファは自らの髪にも似た、鮮やかな原っぱを眺めていた。
少女がその傍らに立ったときにも、特に顔を上げずに。
「ヨファ、女神様が一人に戻ってからわたしのこと避けてる」
FE テリウス ミスト ヨファ ヨファ×ミスト 暁の女神幾百の初恋
残照
エリンシアが上がっていくと、アイクは城の屋上の弓狭間から、遠い空を見ていた。
「あんたと初めて会ったのも陽暮れ時だった。ドレスも夕焼けで染めたみたいな色に見えたな」
「――夕焼けなんて、なんだかとても寂しいみたい。闇を切り裂く、力強い夜明けの方が、きっと皆も頼もしいでしょう」
FE テリウス アイク アイク×エリンシア エリンシア 暁の女神もう名前も呼べない貴方へ
ユグドラル(聖戦の系譜/トラキア776)
王でなかったもの
ナンナがあからさまに不機嫌になった理由には、フィンも心当たりがある。
「分別のある娘で助かっている」
「当たり前でしょう。リーフ様の御耳に入れるほど、私軽率じゃありません」
FE ユグドラル トラキア776 ナンナ フィン覚悟の色
「ダメだぁ、見つからないよナンナ」
リーフ少年が愚痴をこぼすと、いくつか年下のあどけない少女・ナンナが、大人ぶった口調で返す。
「だってリーフさま、下ばかり見てらっしゃるのですもの」
「キノコは地面の暗いところに生えるんでしょう?」
「木のみきだって、生えますわ。……ほら、見つけた」
FE ユグドラル トラキア776 ナンナ リーフ「手を貸して」(台詞お題)
戦場の只中で、少女は声を張り上げる。
リーフたちレンスター勢が、セリス率いる解放軍と合流して、まだ日も浅い。
にもかかわらず、ナンナは早くも衛生兵を率いる一隊長としての任にあたっていた。
FE ユグドラル ナンナ リーフ 聖戦の系譜人よ、其の騎士たれ。乙女よ、其の贄たれ。娘よ、其の太陽たれ。
「君はただの一兵士じゃない。僕の大切な家族だ」
「もったいなき御言葉です。平素ならば謹んで頂戴いたしましょうが……」
ナンナはリーフの眼光を真正面から弾き返した。
「これは謙遜でも遠慮でもございません――諫言です。前線にお戻りください、リーフ様」
FE ユグドラル ナンナ フィン リーフ 聖戦の系譜オトナみたいな
思い定めた一心の
遠すぎる背中
「ラケシス姫は、筋がいいですね。すぐに僕なんか追い越してしまいそうだ」
アゼルが微笑むので、ラケシスは肩をすくめて苦笑した。
「ご謙遜が過ぎますわ。それに私、あまり褒められすぎると張り合いがありませんの。アゼル公子は、もっと至らぬところを叱ってくださってもいいのに」
FE ユグドラル アゼル アゼル×ラケシス まさカプ ラケシス 聖戦の系譜似ているようで、似てないようで
どっちもどっちでおたがいさまで
きっと家族になりましょう