FE

遠すぎる背中

「ラケシス姫は、筋がいいですね。すぐに僕なんか追い越してしまいそうだ」
アゼルが微笑むので、ラケシスは肩をすくめて苦笑した。
「ご謙遜が過ぎますわ。それに私、あまり褒められすぎると張り合いがありませんの。アゼル公子は、もっと至らぬところを叱ってくださってもいいのに」

人よ、其の騎士たれ。乙女よ、其の贄たれ。娘よ、其の太陽たれ。

「君はただの一兵士じゃない。僕の大切な家族だ」
「もったいなき御言葉です。平素ならば謹んで頂戴いたしましょうが……」
ナンナはリーフの眼光を真正面から弾き返した。
「これは謙遜でも遠慮でもございません――諫言です。前線にお戻りください、リーフ様」

覚悟の色

「ダメだぁ、見つからないよナンナ」
リーフ少年が愚痴をこぼすと、いくつか年下のあどけない少女・ナンナが、大人ぶった口調で返す。
「だってリーフさま、下ばかり見てらっしゃるのですもの」
「キノコは地面の暗いところに生えるんでしょう?」
「木のみきだって、生えますわ。……ほら、見つけた」

残照

エリンシアが上がっていくと、アイクは城の屋上の弓狭間から、遠い空を見ていた。
「あんたと初めて会ったのも陽暮れ時だった。ドレスも夕焼けで染めたみたいな色に見えたな」
「――夕焼けなんて、なんだかとても寂しいみたい。闇を切り裂く、力強い夜明けの方が、きっと皆も頼もしいでしょう」