サクラ

誰の背を見て

寝耳に水どころか寝所に火矢を放たれたようだった。
「サクラ、マークス王子。タクミとエリーゼ王女は何も知らない。我々にそうしたように、二人にも自分たちで説明をしてやれ」
「は、い。……リョウマ兄様」

お味はいかが

「そりゃあマークス様が悪いですよ」
思案するマークスに、ラズワルドが頬杖をつきながら言った。
「完全に作戦ミスですよ。マークス様って本当に根っからのオウジサマですよねー」

Sweet Sweets

「あっ、こんにち……いらっしゃいませ!」
食堂に入るなり、白夜王国の第二王女であるところのサクラが頭を下げてきた。
レオンは嘆息して腕組みした。

甘くて苦い手

「グレイ。どうしたんですか、そんなに慌てて」
「母さん。やっと、あげられるような綺麗なのができたぜ。ほら」
グレイはそっと小箱の蓋を開け、懐紙をどける。サクラは中身を見て、ぱっと顔を華やがせた。

夢見草

「最近サクラ様があんまり笑わない」
夜中に突然叩き起こされたと思ったら……真剣な顔のカザハナを見ながら、明日の行軍のために計算し尽くされた完璧な眠りを妨げられたツバキは言う。

花衣を君に

合同誌『花衣を君に』のWEB再録です。レオンとサクラが、互いのきょうだいたちに支えられながら大切な気持ちを確かめていくお話。
レオン視点を氷上涼季・サクラ視点を白井章子さんが担当しました。