カミラ

リンドウの花が枯れる前には

「ねぇ少しは下心もあったのよ、あなたのもとに来ればあの子とも離れずに済むんじゃないかって。まさか透魔王国を再建させて、王様になるだなんて……ヒノカ王女もお嫁に行ってしまうし、ああつまらないわ」
白夜王妃カミラは、寝室の窓辺で聞こえよがしに嘆息した。

うすむらさき

「閉じ込められたみたいね」
ひどく落ち着いた声に、レオンははっと振り向く。
闇に目を凝らしてみると、壁際の木箱の上に、十を少し過ぎた程度の少女が腰かけて、悠然と微笑んでいた。