美しい背中
「連れていってよ」
海翔のその言葉に、天王寺綯は少しだけ眉尻を下げて笑った。海翔も眉を寄せながら、口許だけで笑い返す。
「俺も東京に、連れていって。いいよね」
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不言実行修行中
大徳淳和と交際するにあたって、彼女の父親から提示された『空手の初段習得』という条件を海翔はまず真っ先に蹴った。
愛がどうこうとかそういう精神論ではないのである。彼女の為なら命でも懸けるとか歯の浮く台詞は、(もし使うことがあるとして)ここぞというときに発するべきものであって、犬死にの言い訳に持ち出すものではない。
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最後のこども
アラームが鳴り、八汐海翔は布団の上で目を覚ます。
ポケコンを確かめれば、今は2020年5月5日。部屋の中を見回す。1ヶ月以上もいれば場所自体には随分慣れたが、居心地は相変わらずよくない。
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ドレスアップは廃墟の為に
古郡こなが八汐海翔を呼び出したのは、彼の体調が随分快復した頃だった。
あれほど嫌がっていた『発作』を乱発した後だから、かなり疲弊していたのだ。
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言わないから、こうしていられる
高校生の頃、伊禮瑞榎はよく、その砂浜で波乗りをしていた。 サーフィン部がメインで使う場所とは違って、『最高の波』なんて滅多に来ない。よって人気もない。だからこそ伊禮はここを選ぶわけで、伊禮ならその気難しい波でも軽く手懐けてみせた。 長深田…
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僕らは白い鳥じゃない
「あれ、昴くん。どうしたのさ、こんなとこで」
「……八汐先輩こそ」
風の気持ちいい三月の旧空港、昴は苦々しい思いで呟く。八汐海翔は、何をするでもなくそのコンクリートの平原に立っていた。
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隠したことほど
「……日高くんは、あき穂ちゃんのこと嫌いなの?」
淳和が尋ねたのにはとりたてて深い意味はなくて、更に言うなら明確な答えを期待していたわけでもなかった。
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