咲畑梨深

仮想彼岸のフローラルトリビュート

神成岳志は、黒いスーツに黒いネクタイで、その場所を歩いていた。
遮るもののない陽射し。石の照り返し。樒の緑。線香の匂い。腕の中には七本の白いキクを束ねた包み。

翠雨の頃

「座って何か飲んだらちょっとは落ち着くよね。タクが行きたいカフェってどっち?」
「か、カフェっていうかコラボカフェ、レコード屋と併設の……何でそんなオタクと対極のとこでやるんだよ、馬鹿なの死ぬの!? 限定描き下ろしグッズの星来があんなに神ってなければこんなとこ来なかった!!」