アイク

第六章 太陽と手を携えて

アイクはただ、あの暁の色が忘れられなくて。雨の闇夜を駆け抜けた光の色に憧れて。
どんな悪夢を切り裂くときも、傍らにあの色があれと願った。
俺の世界を救ってくれたのは、他でもないあんただから。俺は生きている限り、この腕を伸ばし続けるから。
だから、頼む。
「俺と手を携えて、生きてくれ」

第五章 春風とともに

いよいよクリミア解放の本懐を遂げようとするアイクたち。
ライとの合流も果たし、レテたちガリア兵のお役目も終わりが見えてきた。
それは同時にアイクとの別れを意味してもいる。レテたちには追いつけない速度で大人になっていく、少年との。
「私はお前を失いたくない。立場以上に……ひととして。私として」
つないでいるはずの手は、途方もなく遠い。

第四章 雪に紅

クリミア解放の機運が高まる中、デイン領を進軍していくレテたちは戦勝国と敗戦国の現実を見る。
『正義』の是非、戦いの意義、倫理と権利――どんな血に塗れても、もう足を止めることはできない。
レテの気がかりは他にもあった。人知れず衰弱していくアイクに、少しでも何かしてやりたい。
泣いてもいいと言ってやれたら……届かない願いは音もなく降り積もる。

第三章 命の貴賤

ベグニオンで出逢った虎の青年・ムワリム。
自らの意思でベオクに従い、他国のラグズを突き放す物言いをする彼に、獣牙の誇りを疑ったことのなかったレテは戸惑いを隠せない。
アイクの強さを知った。ジルの勇気を見た。自分もそんな風に、ムワリムの痛みに歩み寄れるだろうか。