第二章 光が風に舞い遊び
アイクたちの生き方に触れ、ベオクへの憎と彼らへの信頼の間で揺れるレテ。
そんな中、想定外の事態でよき調整役だったライと分断され、レテは自分の責任だけでベオクたちと向き合っていくことを強いられる。
どうしてお前はここに居てくれないんだろう、ライ。『疑うな。信じるな。動じるな』――私には無理だ。私には、難しすぎる。
誰にもこぼせない弱音を見抜いたのは、あの少年の蒼い瞳だった。
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第二章 渡海
ガリアの獣牙族と対等な関係を築こうとするアイクだが、ラグズとベオクの確執は彼の考える以上に深刻だった。
特にレテはベオクへの嫌悪感を露わにし、アイクの差し出した手を拒絶する。
だったら、俺が一人目になろう。あんたの中のベオクが全て、真っ黒に塗り潰されているのなら。
あんたにとって一人目のベオクに、新しく、俺がなろう。
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第一章 そして太陽が目覚めるように
ガリアにやってきた、祖国を焼け出された傭兵団。
レテは親ベオク政策に懐疑的ながら、王の命で彼らの救出に向かう。
そこで出逢った少年の、海のような蒼色と炎のような熱が宿る瞳。
彼はレテから目を逸らそうとしなかった。レテも逸らすことが出来なかった。
視線が交錯するその空間だけ、雨が止んでいるように見えた。
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第一章 開戦
追いかけた背を喪い、壮絶な戦いを強いられるアイク。
迫りくる絶望を切り裂いたのは、陽光のごとき橙の毛色を持った猫だった。
空は暗く。雨は容赦なく身体を叩き、その熱を奪っているというのに。
――長い夜が、明けたような気がしていた。
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もう名前も呼べない貴方へ
あの人はエリンシアの人生に不意に現れて、同じように不意に消えてしまった。
一度もその言葉をくれることのないまま。きっと、エリンシアがどの季節に生まれたのかさえ、彼は把握していない。
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残照
エリンシアが上がっていくと、アイクは城の屋上の弓狭間から、遠い空を見ていた。
「あんたと初めて会ったのも陽暮れ時だった。ドレスも夕焼けで染めたみたいな色に見えたな」
「――夕焼けなんて、なんだかとても寂しいみたい。闇を切り裂く、力強い夜明けの方が、きっと皆も頼もしいでしょう」
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水幻の色
一面の海原はガリアからベグニオンへ向かった船旅を思い出させた。
潮風の匂いだとてそう違いはないのに、この場所は女神の作り賜うた土地とは遠く切り離された『異界』なのだそうだ。波に揺れる足下はどこにもまして頼りない。
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大地に満ちる蒼穹よ気付け
女神との戦いからしばし時が経ち、各国が落ち着きを取り戻した頃、カイネギス王は正式に禅譲を表明された。
今や立派に成長したスクリミルの即位に反対する声もなく、現在ガリアは国を挙げて式典の準備を行っていた。我々軍人も例外ではない。
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汝は我らを導く者ぞ
「……不満そうだな?」
レテが呼びかけると、アイクは難しい顔で振り向いた。
「不満なんじゃない。腑に落ちない。何で俺なんだ?」
「ライにも言われたのだろう?ラグズとベオクが組む時点で、将軍はお前しかいないのだと」
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君は無辜の林檎
若竹色の髪がふと揺れる。かなりの長身で、虎ほどではないが肉付きのいい体格をしていた。
しかし無駄がない。只者ではないことは一目で分かる。
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