井沢徹平

ピアノの顔

あった。椅子の座面からお気に入りのペンを拾い上げ、琉千花はほっと息をついた。
振り返って授業後の音楽室を見回す。空っぽだ。これから昼休みだが、高葉ヶ丘の軽音部は時間外練習をするほど熱心ではないようだった。

渇仰

八月。全国の球児が沸く季節。この大切な時季に『違和感』なんて低レベルな嘘がまかり通るほどには椎弥はチームに貢献しているし、練習を放り出しても構わないほどに妹と幼なじみが大事だった。