もう名前も呼べない貴方へ あの人はエリンシアの人生に不意に現れて、同じように不意に消えてしまった。 一度もその言葉をくれることのないまま。きっと、エリンシアがどの季節に生まれたのかさえ、彼は把握していない。 2021-07-28FE テリウスアイク,アイク×エリンシア,エリンシア,暁の女神
残照 エリンシアが上がっていくと、アイクは城の屋上の弓狭間から、遠い空を見ていた。 「あんたと初めて会ったのも陽暮れ時だった。ドレスも夕焼けで染めたみたいな色に見えたな」 「――夕焼けなんて、なんだかとても寂しいみたい。闇を切り裂く、力強い夜明けの方が、きっと皆も頼もしいでしょう」 2021-07-28FE テリウスアイク,アイク×エリンシア,エリンシア,暁の女神