相模雅伸

理屈屋クッキング

エプロン姿の理奈は、雅伸の顔から視線を外そうとしなかった。雅伸は妹を直視できず、間を隔てるテーブルに目を落としている。
理奈の好物である鶏の照り焼き……になる予定だった塊は、皿の白さを引き立てるほど真っ黒だ。
「見てやる、って言われて本当に見てるだけだとは思わないじゃない」

傘を咲かす

未紅は雨に濡れて帰るのが好きだ。むやみにテンションが上がる。みんなが傘を差しているほど手ぶらなのが楽しくなってしまう。
シンギンザレイン。普通に生きていて、服ごと濡れる機会が他にあるだろうか? ゲリライベントは全力エンジョイに限る。

千々ノ一夜迄

「『しんど百物語』、やってみませんか?」
またおかしなことを言い出した。雅伸は眉をひそめて、隣に寝転ぶ女を見る。紺野未紅はベッドにうつ伏せになって、膝から下をぱたぱたと動かしている。