春がもうひとつあったとて
「松原さんって誰?」
桜原家のポストに入っていた、見知らぬ差出人からの手紙。心穏やかでない椎弥は皓汰を問い詰めるが、皓汰はどこか浮ついた様子で返事を書こうとしていた。
――皓汰はいつも自分を表現する言葉には不自由している。椎弥と共有できるかたちにはならないし、してもくれない――
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櫻にカナリヤ
【中編】
桜原皓汰、二十九歳。都会にぽつりと残った古い家で父と二人暮らし。
このまま、なんとなく滅んでいくのだと思っていた。家も、親父も、俺も。
そんなある日、父の応援する選手が引退会見で婚約を発表。お相手はどうも――皓汰!?
嘘だらけで、とても優しい、苦しまぎれの愛の唄。
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忌み枝を抱く
建て替えた桜原家に初めての春が訪れた。見下ろす桜も心なし初々しい。父が生まれた記念に植えられたものだから、本当は皓汰よりずっと年上なのだけれど。
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赤を囲う
【中編】
その日、兄が飛び降りた。理由は知らない。
感性。出生。性愛。外見。疾病。「普通」でない人たちが自分の色と在り様を見つけていく短編集。
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渇仰
八月。全国の球児が沸く季節。この大切な時季に『違和感』なんて低レベルな嘘がまかり通るほどには椎弥はチームに貢献しているし、練習を放り出しても構わないほどに妹と幼なじみが大事だった。
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