片手の行き先
判安二は、雑居ビル内の金属製のドアに寄りかかり、うとうとと舟を漕いでいた。
2006年9月25日。東京都渋谷区の天気は晴れ、最高気温は25度近いそうだ。
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これは呪いだと知っていた
「こんばんは、百瀬さん。今年は義理チョコ禁止令が出たんで、特に何もなくてすみません」
「本命を横流しするのはもうやめたわけね?」
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命を呼ぶ水
「いらっしゃい。今年は素面なのね」
「ええ、まあ。飲んで騒ぐような歳でもないですし」
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針はなくとも時計は動く
「知ってますか、百瀬さん。コーヒーを飲んでるとね、吐いても口がまずくならないんですよ」
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子供はまだ微睡の中
この階段を上るときは、いつだって冒険心と引け目でドキドキした。
堂々と前を行く背中がないだけで、こんなにも心持が違うものかと、神成はぼんやり考える。
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きみはみんなのおにいさん
二〇一五年。神成岳志は、渋谷警察署の眼前に長々と渡る歩道橋の上で、漫然と渋谷の夜景を眺めていた。
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本音と嘘と裏切りと親愛
「これ、誰だか心当たりは?」
「先輩!? うっわ、若……! 昔から百瀬さんと知り合いって本当だったんだ」
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