判安二

片手の行き先

判安二は、雑居ビル内の金属製のドアに寄りかかり、うとうとと舟を漕いでいた。
2006年9月25日。東京都渋谷区の天気は晴れ、最高気温は25度近いそうだ。

都合のよい夢

「うわ、神成くんまた勉強してんスか? 飽きないッスねー。事件のないときぐらい緩く過ごせばいいのに」
コーヒー片手に声をかけてきた諏訪護巡査部長は32歳。神成より年上なのに、百瀬には『神成ちゃんより若々しい』と言われている。