花の名前を君に贈ろう
「で、何であなたがここにいるの」
城門前まで呼び出されたカザハナは、不機嫌を隠しもせずに言い放った。ラズワルドはいつもの浮薄な笑みを引きつらせ、指先で頬をかいている。
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弦のない弓
「タクミ様がね、周囲がどんどんお相手を見つけているっていうのに、浮いたお噂の一つもないの」
母・オボロの頼みで、エポニーヌはタクミに想い人がいるかどうか確かめることになる。そしてタクミの思いがけない気持ちに触れ、エポニーヌはある決心をする。
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雫集め
彼女がいつから白夜にいたのか、タクミは覚えていない。
生まれてはいたはずなのだが、もの心つくほど大きくはなかった。ともかくも彼女はいつも、遠慮がちにタクミの家族の傍にいた。
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罪紅に水括る
「いいお天気だね! 狐の嫁入りなんて言葉はきっとヒトの考えた冗談だよ」
「ピエリは人なのよ! お嫁入りするのはニシキじゃないんだから、雨が降ってなくて当然なの!」
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鼈甲色の王子
リョウマの白夜王としての即位式も、エリーゼとの祝言も滞りなく終わった。
そして戦時中には秘境に預けていたシノノメを正式な王太子として立てたが、どうにも言動から幼さが抜けない息子にリョウマは手を焼いていた。
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綺羅星の姫君
「ねぇオボロ。お式の衣装はこの間、サイズ測ってもらって布も選んだよね? 今度は何を選ぶの?」
闘いが終わり、真の平和へ歩き出した白夜王国と暗夜王国。その架け橋として、もうすぐエリーゼは白夜国王リョウマに嫁ぐ。
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リンドウの花が枯れる前には
「ねぇ少しは下心もあったのよ、あなたのもとに来ればあの子とも離れずに済むんじゃないかって。まさか透魔王国を再建させて、王様になるだなんて……ヒノカ王女もお嫁に行ってしまうし、ああつまらないわ」
白夜王妃カミラは、寝室の窓辺で聞こえよがしに嘆息した。
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誰の背を見て
寝耳に水どころか寝所に火矢を放たれたようだった。
「サクラ、マークス王子。タクミとエリーゼ王女は何も知らない。我々にそうしたように、二人にも自分たちで説明をしてやれ」
「は、い。……リョウマ兄様」
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お味はいかが
「そりゃあマークス様が悪いですよ」
思案するマークスに、ラズワルドが頬杖をつきながら言った。
「完全に作戦ミスですよ。マークス様って本当に根っからのオウジサマですよねー」
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つないでむすぶ
暗夜王妃ヒノカは、寝所の鏡の前で短いなりに髪を梳っている。戦姫と呼ばれた彼女にも、まだ残っている女らしい習慣の一つであった。
同じ部屋で暗夜王マークスは、盛大に嘆息した。
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鏡の温度
『今宵、私の部屋に来てほしい』
ヒノカが、マークスの臣下であるラズワルドからその伝言を受け取ったのは、その日の昼の頃であった。
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君を一生許さない
「もう白夜ですね」
サクラは分かりきったことを何度も言う。その度レオンは、そうだねと返す。
「あなたの故郷だよ」
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