桜原朔夜

千々ノ一夜迄

「『しんど百物語』、やってみませんか?」
またおかしなことを言い出した。雅伸は眉をひそめて、隣に寝転ぶ女を見る。紺野未紅はベッドにうつ伏せになって、膝から下をぱたぱたと動かしている。

写真

「朔夜さんって写真撮らないよね」
君はスマートフォンを私に向けて呟いた。陽光にきらめく海から視線を外し、私はレンズではなく君の目を見る。