富島彩人

面目

最後の夏は、多少なりともドラマチックに終わるものだと思っていた。
竜光は誰もいなくなった部室で、捕手向けと褒められた大柄な身体を丸めてプラスチックコンテナからキャッチャーマスクを拾い上げる。

紅茶とキャンディ

「ひとつ忠告しとくぞ」
振り上げた右手は空中で掴まれて、頬まで届くことはなかった。彩人は聡子の手を放さずに淡々と言った。
「眼鏡かけた奴の顔を、不用意に狙わないことだ。弁償させられたくなけりゃな」