櫻にカナリヤ - 1/4

 

 その鳥は春のよろこびを謳っていた。冬に凍える桜の枝で、光の色を一心に集めて歌っていた。
 ああきっと長生きはしまいと一目で知った。
 ひとの都合で美しく造られたものには、なんだって番う術がありはしないのだから。

(櫻井皓『椎骨の散逸』より)