科学ADV – ページ 4

「はぁ！？　この状況でCLとかハナカツヲマジどんだけ劣悪な環境でインして来てんだよ！　エンスーは遊びじゃないんだぞ！？」
僕の名前は西條拓巳。職業は自宅警備員。

渋谷の街はどこもかしこも崩壊しているように見えた。
西條拓巳は咲畑梨深に手を引かれ、青空の下、瓦礫だらけの『町だった場所』を、漫然と歩いている。

「大輔。やっぱり西條、どこにもいねぇって」
「そか。あんがとな」
三住大輔は、情報を集めて来てくれた友人たちに、いつものように白い歯を見せて笑いかけた。

判安二は、雑居ビル内の金属製のドアに寄りかかり、うとうとと舟を漕いでいた。
２００６年９月２５日。東京都渋谷区の天気は晴れ、最高気温は２５度近いそうだ。

乾ききった霞ヶ関から、丸ノ内線で新宿まで寄り道。二〇〇七年も十二月の街はクリスマスムード。
諏訪はこの雰囲気が嫌いではない。

池袋で見つかった変死体。
判は部下の諏訪・神成を連れ捜査を開始する。

「信用調査会社？」
神成岳志は、先輩刑事・判の口にした単語を、不快感も露わに繰り返してしまった。

刑事の花形、警視庁捜査一課。
ひとたび事件が発生すれば犯人逮捕に尽力し、華麗に解決――そんなのはドラマの中の話で、実際刑事のオシゴトというものは地味な努力の連続だ。

「や。目が覚めたか」
悪党のような台詞だが、声の主がそんなに器用でないことぐらい、澪にも解っていた。

澪はしばらく宮代の暮らしていたトレーラーハウスの前に座り込んでいた。
雨音が耳障りに鼓膜を震わすけれど、苛つく余力もない。

神成岳志。あらゆる意味で、わけのわからないことが多すぎる男。

「こんばんは、百瀬さん。今年は義理チョコ禁止令が出たんで、特に何もなくてすみません」
「本命を横流しするのはもうやめたわけね？」