流行おくれのおにいちゃん
「根強いガラケーユーザーは未だに結構いるんだからな」
「グダグダ言ってないで機種変しろよ! 物に愛着を持つのも結構だが大概にしろ、いつか繋がりもしないガラクタ抱えて現場に行くつもりか!?」
科学ADVCHAOS;CHILD,久野里澪,神成×久野里,神成岳志
いつも少しだけ不自由
「恋人かと訊かれた。ここの警官は不躾だな」
「人相を教えろ。あとで誤解だと重々言い聞かせておく」
科学ADVCHAOS;CHILD,久野里澪,神成岳志
みかんを食べたら帰ります
『こたつ要るか? こないだストーブの電熱線切れたとかって聞いたから。要るなら持って行こうかなと』
科学ADVCHAOS;CHILD,久野里澪,神成岳志
だいぶおかしな僕と君
「なんか、甘い匂いがするな」
「あ? タイムスリップでもしてきたのかあんた。エキナカのスイーツなんて今日び珍しくもないだろう」
科学ADVCHAOS;CHILD,久野里澪,神成岳志
ささいなささいな古い癖
「あ、久野里さん。火ィあるか?」
フリージアの応接間で百瀬の帰りを待っていた神成は、入ってきた別の女性を見るなりそう口にしてしまった。
「私は、未成年、ですよ。『有能な』刑事さん」
科学ADVCHAOS;CHILD,久野里澪,神成岳志
もっと馬鹿ならよかった
僕がその転校生を気にし始めたのは、やはり彼女の正体を知ってからだと思う。
ネットラジオ『渋谷にうず』。その管理人である彼女は、得意顔で間違いを撒き散らす他の情弱とは違う。本当の情報強者だ。
科学ADVCHAOS;CHILD,久野里澪,伊藤真二,宮代拓留,拓留×久野里
The Catcher in the Crazy City
「――キミもよくよく物好きだねぇ。もう何の義理もないだろうに、そんなに律儀に僕を捜して」
背後から、人を食ったような声がする。幻聴ではない。神成はこの声に聞き覚えがある。ずっと捜していた、一方で見つかりそうにないと思っていた男。
科学ADVCHAOS;CHILD,久野里澪,神成岳志
及び腰の残影
「三住は全然変わらねーなぁ」
「いやー、変わったろ? よりいい男になったっつーか」
「はっは、ウゼー」
高校卒業から十年。同期との会話のテンポは、確かに高校の頃と変わらなかった。
科学ADVCHAOS;HEAD,三住大輔,西條拓巳
翠雨の頃
「座って何か飲んだらちょっとは落ち着くよね。タクが行きたいカフェってどっち?」
「か、カフェっていうかコラボカフェ、レコード屋と併設の……何でそんなオタクと対極のとこでやるんだよ、馬鹿なの死ぬの!? 限定描き下ろしグッズの星来があんなに神ってなければこんなとこ来なかった!!」
科学ADVCHAOS;HEAD,咲畑梨深,拓巳×梨深,西條拓巳
第三夜
病院は嫌いだ。何度訪れても慣れることがない。諏訪護はこの清潔すぎるハコの中で、薬品の臭いに眉をひそめる。
「あら。おかえりなさい、護」
「ただいま、志乃」
科学ADVCHAOS;HEAD,諏訪護
廻るペルソナ
二〇〇九年九月、残暑も厳しいある夜のこと。
警視庁捜査一課の神成は、上司である警部補・判安二に『暑気払いに飲みに行こう』と声をかけられた。あの判安二に、だ。
科学ADVCHAOS;CHILD,CHAOS;HEAD,神成岳志,諏訪護
本日の主役
「タク、お誕生日おめでとー!」
バカみたいな円錐からバカみたいな紐が飛び出る。拓巳は眉をひそめて、自分の髪に引っかかった紙くずを払いのける。
科学ADVCHAOS;HEAD,咲畑梨深,拓巳×梨深,西條拓巳