富島彩人

同人誌『恋に向かない男たち』

同人誌『恋に向かない男たち』のサンプルページです。B6/146P/800円君よ、生きてくれ。俺のせいで、僕のために。大学が別々になる前に、幼なじみと卒業旅行へ行く青年。自分の恋が叶う瞬間、病弱な親友を振り返ってしまう大学生。忘れえぬ記憶を刻…

留年旅行

マンションのエントランスにゴルフに行きそうなオッサンがいると思ったら彩人だった。
「おはよ、あっちゃん。今日も十八歳とは思えない格好してるね。またお父さんのクローゼットから勝手に服借りたの?」
「そういう慶ちゃんは今日もまるで小学生だな。その原色のセーター、レゴブロックみたいで似合ってるぞ」

面目

最後の夏は、多少なりともドラマチックに終わるものだと思っていた。
竜光は誰もいなくなった部室で、捕手向けと褒められた大柄な身体を丸めてプラスチックコンテナからキャッチャーマスクを拾い上げる。

紅茶とキャンディ

「ひとつ忠告しとくぞ」
振り上げた右手は空中で掴まれて、頬まで届くことはなかった。彩人は聡子の手を放さずに淡々と言った。
「眼鏡かけた奴の顔を、不用意に狙わないことだ。弁償させられたくなけりゃな」