青い首輪をいつ外す
二〇一八年の六月上旬、渋谷のビアガーデン。
神成は『パリピ』や『陽キャ』、『リア充』などの表現を他人に用いたことはないが、周囲の客席は他にどう呼んだらいいか分からない人種ばかりだった。
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ブルーブルー・ビリジアン
久野里澪から、日本にいるので面を貸せと電話があったのは、二〇一七年の暑い盛りの朝だった。
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流行おくれのおにいちゃん
「根強いガラケーユーザーは未だに結構いるんだからな」
「グダグダ言ってないで機種変しろよ! 物に愛着を持つのも結構だが大概にしろ、いつか繋がりもしないガラクタ抱えて現場に行くつもりか!?」
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いつも少しだけ不自由
「恋人かと訊かれた。ここの警官は不躾だな」
「人相を教えろ。あとで誤解だと重々言い聞かせておく」
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みかんを食べたら帰ります
『こたつ要るか? こないだストーブの電熱線切れたとかって聞いたから。要るなら持って行こうかなと』
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だいぶおかしな僕と君
「なんか、甘い匂いがするな」
「あ? タイムスリップでもしてきたのかあんた。エキナカのスイーツなんて今日び珍しくもないだろう」
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ささいなささいな古い癖
「あ、久野里さん。火ィあるか?」
フリージアの応接間で百瀬の帰りを待っていた神成は、入ってきた別の女性を見るなりそう口にしてしまった。
「私は、未成年、ですよ。『有能な』刑事さん」
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もっと馬鹿ならよかった
僕がその転校生を気にし始めたのは、やはり彼女の正体を知ってからだと思う。
ネットラジオ『渋谷にうず』。その管理人である彼女は、得意顔で間違いを撒き散らす他の情弱とは違う。本当の情報強者だ。
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The Catcher in the Crazy City
「――キミもよくよく物好きだねぇ。もう何の義理もないだろうに、そんなに律儀に僕を捜して」
背後から、人を食ったような声がする。幻聴ではない。神成はこの声に聞き覚えがある。ずっと捜していた、一方で見つかりそうにないと思っていた男。
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池袋乙女ロード殺人事件
池袋で見つかった変死体。
判は部下の諏訪・神成を連れ捜査を開始する。
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○○しないと出られない部屋
「や。目が覚めたか」
悪党のような台詞だが、声の主がそんなに器用でないことぐらい、澪にも解っていた。
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壊れたオリジナルデータ
澪はしばらく宮代の暮らしていたトレーラーハウスの前に座り込んでいた。
雨音が耳障りに鼓膜を震わすけれど、苛つく余力もない。
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