標星
病院の廊下は中学校の廊下よりも広く長く冴え渡っていた。
Leo/need レオニちゃんと司くん 天馬司 星乃一歌
一点の汚れも許さない冷たさに気後れしながら、一歌は財布を握りしめる。
たった十数メートルを躊躇させるような潔癖な箱に、どうして咲希ばかり閉じ込められてしまうのかと考えるだけで俯きがちになる。今はまだ君だけのスター
「咲希、起きたか。具合はどうだ?」
Leo/need レオニちゃんと司くん 天馬司 天馬咲希
あたたかくて少し乾いた指が、咲希の額にかかった髪を払っていく。
――なんでお兄ちゃんがアタシの部屋にいるんだろ。ぼんやりと瞬きをして、咲希は自分の握り締めたスマートフォンに視線をやる。霽月の一片
買い物に行った帰り、穂波は妙な男を見かけた。
Leo/need レオニちゃんと司くん 天馬司 望月穂波
見覚えのある背中をこちらに、彼は軒下で腕を頭上にかざしたり手のひらを空に向けたりしている。 ――司さん、何やってるんだろ。アルペジオ
――なんだ、今日は誰もいないのか。志歩は軽く落胆して足を速める。
Leo/need レオニちゃんと司くん 天馬司 日野森志歩
すると、志歩の二倍は早足でピアノに向かっていく人影があった。
彼は乱暴な手つきで椅子を引く。大股でどっかと座って両手を鍵盤に叩きつける。勢い任せの騒音は、一秒と待たず整った旋律になった。本日経由、昨日⇔明日
寧々が神代家のチャイムを押したのは、ちょうど三日前の夜分遅くだった。
ワンダーランズ×ショウタイム 神代類 草薙寧々
手にしていたのはコンビニで発券したらしい何かのチケット。
「狙ってた東京公演が秒で満席になっちゃって……!」Nameless
それは僕のかたちをしている
冬が得意なわけではないが、冬の空気は割と好きだ。
Vivid BAD SQUAD 冬こは 小豆沢こはね 青柳冬弥
シブヤの公園。冬弥は黒い革の手袋でチェスターコートの袖を押さえ、腕時計の文字盤に目を落とす。
「青柳くん、こんにちは」Be your/Santa Claus